麻布十番総合法律事務所
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松江被疑者ノート破棄事件 2015年11月29日

1.被疑者ノート

突然自宅に警察がやってきて,逮捕されることがあります。

身柄を拘束され,それまでの生活とは一変します。

「当番弁護」という制度がありますので,弁護士が当日に面会に行きます。依頼するかどうかを含めて,その当番の弁護士にご相談ください。

逮捕された事実が,本当であるならば素直に罪を認めればよいのですが,中には,やってもないのに逮捕されることもあります。

事実を否認する場合には,通常「被疑者ノート」が弁護士から差し入れられます。

その「被疑者ノート」に毎日の取り調べの様子を書き,後日,弁護士に渡すという運用が行われています。

弁護人にとっては,警察や検察がどのような取り調べをしたかを知る貴重なノートです。

 

2.被疑者ノートの破棄

さて,松江刑務所では,刑務所の職員が,弁護人に渡す予定の被疑者ノートをシュレッダーにかけるという事件が起こりました。

★松江刑務所が取り調べ状況を記載する「被疑者ノート」細断…被告、賠償求め提訴へ
http://www.sankei.com/west/news/151127/wst1511270075-n1.html

【松江刑務所で勾留中の詐欺事件の被告が取り調べ状況などを記載した「被疑者ノート」を刑務所が細断、破棄していたことが27日、分かった。弁護側が明らかにした。刑務所側は被告に謝罪したが、被告は30日に松江地裁へ国家賠償請求訴訟を起こす方針。

 被告は今年6月、特殊詐欺の関係者として逮捕、起訴された福島県の40代男性。弁護人が差し入れたノートに取り調べの内容や取調官の言動などを記録していた。

 弁護人によると、刑務所側はノートを弁護人に渡すよう8月13日に被告から依頼されていたが、19日に細断したため翌20日に被告と弁護人に謝罪した。

 刑務所は、ノートと共に保管するはずの申込用紙が別の場所にあったため、刑務官が既に釈放された収容者のノートと勘違いしたと説明したという。

 被疑者ノートは、日弁連が不当な取り調べから守るために作製し、供述調書の任意性や信用性を争う際に有効とされる。

 弁護人の小西碧弁護士は「あってはならないこと。刑務所の管理体制を明らかにしたい」と話した。刑務所は「起きたことは遺憾。職員の指導を徹底し再発防止に務める」とコメントした。】

一般に国家賠償のハードルは高いですが,今回のケースは完全な刑務所のミスですので,認められる余地は十分あるのではないでしょうか。

この小西先生は,松江修習時代の同期です。迷惑かもしれませんが,応援したいと思います。